ホストクラブでの売掛金の回収は正攻法では難大

裁判 ホストクラブ

ホストクラブのホストにとって、一番の負担となるのが売掛と呼ばれるものでしょう。お客様が現金の持ち合わせがない場合に、ツケ払いで飲めるシステムを売掛と云うのですが、その売掛金の回収はホストが行わなければなりません。更に、お客様が売掛金を支払わずに逃げると、ホストが自腹でその金額を店に納めて帳尻を合わせることになるのです。

民事訴訟ではホスト側が大変不利な状態

売掛金の回収はホストが店の営業時間外で行う訳ですが、就寝時間などを削って金銭の回収にお客様の元に向かうことになりますが、すんなりと代金を払ってくれない場合が多々存在します。また、回収までに時間が経てば経つほど心理として支払いたくなくなるようで、トラブルに発展する場合が多々あります。

ここで、先ず正攻法で考えるのが民事訴訟を起こして、正当に回収する方法をイメージしますが、大概の場合、ホスト側が敗訴します。「無銭飲食の犯罪になるのでは」、「支払いを約束していたのだから詐欺になるのでは」、そういった観点からホスト側が勝訴して、お客様に支払いを命じる判決が下ると一般的に考えがちですが、裁判所は、「ホストクラブの売上は暴利を得ているから」という理由で、ホスト側を敗訴にする可能性が高いのです。

ですから、ホストが売掛の回収に民事訴訟を使うことは、時間と弁護士費用の無駄になってしまうことを把握しておきましょう。

警察に被害届を出すのも適正とはいえない

基本的に警察に被害届を提出するのも、上記の民事訴訟と同じように効果は見込めません。

警察は民事不介入が原則ですから、その場を穏便に取り繕う程度のことしかしてくれません。

逆に、ケツモチに反社会的勢力や広域指定暴力団が存在するようであれば、逆に摘発の足掛かりになってしまう場合を考えなくてはなりません。警察にはノルマがあり、広域指定暴力団の摘発はノルマに対して高ポイントになりますから把握しておきましょう。

また、店舗の運営者や上席のホストがケツモチの存在をチラつかせる場合がありますが、本当にケツモチがいるかは定かではありません。適当な脅し文句にしている場合があります。本当にケツモチが存在する場合は、ケツモチは広域指定暴力団の組織が請け負うのではなく、個人単体が請け負う形になりますので、○○会××組の△△さんがケツモチと云うように、個人名まで出れば本当の可能性が高いと云えます。

債権回収機構に譲渡しても雀の涙

ツケ払いのツケとはせずに、借金と云う形式にして、借用書を記載頂いた場合、裏書に転売についての取り決めを記載しておけば、他の金融屋さんに借用書を譲渡することが出来ます。ここで一般的に正当な債権回収機構に譲渡した場合、譲渡金額は5%程度だと認識してください。例えば100万円の売掛があり、借用書を記載して頂き、その借用書を譲渡する場合は5万円程度にしかならないのです。

逆に譲渡の金額はグレーな金融屋さんになればなるほど、高いレートで引き受けてくれる可能性が高いです。また、借用書の他に身分証明書のコピーなどの必要書類の添付は必須ですが、借用書の上部の空白の余白に「捨印」を押印しておいたものの方が高レートになります。

捨印は、規則や儀礼のようなものではありません。捨印の横に新たに条項を記載すれば、それが認められるということなのです。ですから例えば、100万円の借用書を記載して、捨印を押印して頂いた横に後から「やっぱり100万円ではなく5000万円ね」と記載すると、5千万円の借用書になってしまう的な感覚で宜しいかと存じます。

一番効率が良くて、良い手本になるのは譲渡

ホストクラブでの売掛金の回収で、ホストが回収困難と判断した時の一番、効率が良くて他の方々への良い見本となるのが、キツキツの金融業者さんへの債権譲渡です。

回収金額は減ってしまいますが、キツキツの金融業者へ債権の譲渡をすると確実に厳しく回収するので、今後、売掛を飛んで逃げようと考える方は減ることでしょう。

また債権譲渡で、キツキツの金融業者が摘発をされた場合に、芋づる式で自分まで被害が及ぶとお考えなら、裏書で何人か間に譲渡歴を挟むようにすると良いでしょう。
何人かの手を巡り巡って流れた債権であれば、善意の第三者にもなりますから、ホストクラブが抱える理不尽な不利な状況も幾分緩和出来ることでしょう。

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